万年筆とは、デスクの上で、インク壺にペン先を入れて、ペン先についたインクで優雅にサインを書く…というようなものではなく実は、ペンの中にインクを入れて、持ち運んで日常的にお使いいただくことができるものなんです。
①カートリッジ式 カートリッジを取り替えるだけ!初心者の方におすすめ
カートリッジとは、インクがパックされた"替え芯"のようなもの。
カートリッジを万年筆に差し込むだけで、すぐに書けるようになります。
中のインクがなくなったら取り外し、新しいものを付けるだけなので、お手入れが簡単です。
初心者の方はカートリッジから始めるのがおすすめ。
この「カートリッジが使える万年筆」のことを「カートリッジ式」と呼びます。
カートリッジを使ったインクの入れ方 画像にまとめる
①万年筆を分解します
②ペン先を下にして、カートリッジをしっかり差し込みます
③インクが通りにくい場合は、ペン先をティッシュに包んで軽く振ります
④ペン先を上に向けた状態で、ティッシュにインクがつけばOK
⑤インクが通ったら、軸を戻します
⑥インクがペン先まで通り、書けるようになりました
洗浄方法
①カートリッジを外して、ペン先のパーツに水道水を流し入れて洗います
ペン先を下にして スポイトや注射器でもOK
②汚れが強い場合は、水を張ったコップに一晩入れておきます
※ペン先が傷付かないように、プラスチックのコップなどがおすすめです
ペン先からゆっくり入れます ペンの先からインクが抜けていきます
③ティッシュなどで水気をしっかり取り、よく乾かしてください
②コンバーター式 色んなインクを使いたい方におすすめ!
コンバーターとは、万年筆に装着し、ペン先から注射器のようにインクを吸い上げられるようにするためのパーツのこと。パーツなので購入した段階では空です。
近年の万年筆インクは、色数が豊富で、各お店さんのこだわりのコンセプトや、メーカーさん毎のインクの書き心地など、多岐にわたって楽しめるものとなりました。
ブングボックスこだわりのインクたち
こういった"ボトルインク"を楽しむためには、万年筆にインクを吸い上げるこのコンバーターが必要です。
「コンバーターが使える万年筆」のことを「コンバーター式」と呼びます。
コンバータ―を使ったインクの入れ方 画像にまとめる
①万年筆を分解します
②コンバーターをしっかり挿し込みます
③コンバーターのおしりのつまみを回し、ピストンを下まで下ろします
④インクボトルにペン先をつけます。空気が入ってしまうので、ペン先の銀色の部分がインクに浸かるくらいまでしっかり入れてください
⑤つまみを反対に回して、インクを吸い上げます。これを何度か繰り返します
⑥インク瓶から引き上げ、ティッシュでペン先をきれいにします
⑦パーツを戻します。インクが出るようになりました
洗浄方法
①軸を外し、※コンバーターは着けたまま、つまみを回してコップの水を吸い上げます。
※しっかり洗浄したい場合には取り外しての洗浄もOKですが、着け外しの繰り返しで、装着部分が摩耗していきます。できるだけ着けたまま行うようにしましょう
②吸い上げた水を捨てます。インクの色が出なくなるまで、これを繰り返します
③汚れが強い場合は、コンバーターを外して、ペン先のパーツだけを、水を張ったコップに一晩入れておきます。
ペン先からゆっくり入れます ペンの先からインクが抜けていきます
④ティッシュなどで水気をしっかり取り、よく乾かしてください
※また、「カートリッジとコンバーターの両方が使える万年筆」もあります。近年ではこれがもっともポピュラーで「両用式」と呼ばれます。
③吸入式 インクを一度にたっぷり入れたい方におすすめ
「吸入式」とは、「万年筆本体にインクを入れる万年筆」のことです。
プラスするパーツはありません。コンバーターが内蔵されているタイプと思ってください。
例えばこちらは「TWSBI」という台湾のメーカーの「吸入式万年筆」です。
コンバーターに入るのは大体〇〇mlですが、万年筆本体にインクを入れる吸入式ですと、ボディの部分にたっぷりインクが入るので、しょっちゅうインクを吸い上げなくても良い
軸内吸入式万年筆のインクの入れ方 画像にまとめる
①万年筆のおしりのパーツを回し、ピストンを下まで下げます。
②インクボトルにペン先をつけます。空気が入ってしまうので、ペン先の銀色の部分がインクに浸かるくらいまでしっかり入れてください
⑤つまみを反対に回して、インクを吸い上げます。終わりには、つまみはやさしく、最後まで回しきりましょう。※締めすぎるとねじきりが壊れて故障の原因になります
⑥インク瓶から引き上げ、ティッシュでペン先をきれいにします。
⑦インクが出るようになりました
洗浄方法
①おしりのパーツを回し、ピストンを下まで下げ、中のインクを出しきります
②パーツを反対に回し、コップの水を吸い上げます
軸全体を水につけてしまうと、隙間から内部に水が入ってしまいますので注意しましょう
③吸い上げた水を捨てます。インクの色が出なくなるまで、これを繰り返します
④汚れが強い場合は、ペン先が浸かるくらいまでコップに水を入れ、一晩入れておきます ダメかも
⑤ティッシュなどで水気をしっかり取り、よく乾かしてください
水気を取った後にすぐに次のインクを入れても故障にはつながりませんが、インク漏れをしたり、インク色が薄くなったりします。
そのため、いずれの場合も洗浄後はしっかり乾燥させることを推奨します
万年筆を使う時に、やってはいけないこと
①インクを入れたまま長期間放置すること
インクを使い切り、カートリッジやコンバーターが空になった状態でも、洗浄をせずに放置すると、ペンの内部でインクが乾いて固まってしまいます。長期間使わない場合は、必ず洗浄を行ってください。
キャップの締め忘れや、緩みにも注意。
とにかく乾燥させないことが大事です。一文字でもいいので毎日使用して、ペン先にインクを通し、保湿してあげるのが一番のお手入れになります。
②異なるインクを混ぜること
万年筆インクは混色がNG!
洗浄せずに続けて異なるインクを使うと、ペンの内部でインクが混ざってしまい、故障の原因となります。
同じ色合い、青から青への入れ替え(ブングボックスでいうと、「初恋」から「海色」へ)でも、ボトルが違えば「混色」です。
この乾燥と混色を避けるために「洗浄」を行います。
特別な道具は不要で、水かぬるま湯で。ペンの内部を洗い流す作業です。
万年筆を長期間使わない場合や、インクを入れ替える場合には必ず行ってください。
使い続ける場合には、定期的な洗浄を推奨します。